10月17日(土)に本学法学部では、「古事記・日本書紀編さん1300年記念関連 公開講座」を開催いたしました。昨年に引き続き、宮崎県の事業として展開されている「神話のふるさと県民大学」とタイアップし、県内を中心に126名の来場者がありました。
本年も、この分野において大変ご高名な2名の先生方にお越しいただいての講座開催となりました。
まず、西宮秀紀先生(愛知教育大学教育学部教授・副学長)から「古代の神祇と祭祀―記・紀などの古代史料から見た―」という題でご講演をいただきました。
講演では、古代には神々を祭ることを神祇祭祀といい、国家が掌握していた全国の神々が3000余座もあったこと、そして祭りで天皇から幣帛がプレゼントされる段取りを詳細に紹介されました。また伊勢神宮でさえ現在の社地は遡って平安時代までしか確認できず、古代史料にみえる神社が現在のどこにあたるかは難しい問題であることを論じられました。
次に、舘野和己先生(奈良女子大学研究院人文科学系教授)から「記紀から読み解くミヤケ -日向国府近くの三宅地名に絡んで―」という題でご講演をいただきました。
大化改新以前のミヤケは、かつては水田と倉を中心に理解されてきましたが、記紀には港湾・宿泊の機能をもつ例があり、ミヤケの本質はヤマト王権の支配・経営の拠点にあることを明らかにされました。そして大化以後にも役所にミヤケの訓や出土文字資料がみられ、前代のミヤケ概念をひきついでいること、したがって西都市の三宅地名が日向国府所在地にふさわしいことを説明されました。
いずれも貴重なお話をいただき、参加者の皆さんも大変熱心に耳を傾けておられました。
当日ご来場いただいた皆様に篤く御礼を申し上げます。今後も、本学では地域のニーズに合った様々な学びの機会を提供したいと考えております。どうぞご期待ください。
法学部准教授 福本 拓