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出山ゼミと柚原ゼミ合同の 「富士シリシア化学株式会社」研究視察報告!

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 去る平成25年2月5日(火)、本学経営学部の出山ゼミ(財務会計論、情報会計論)と柚原ゼミ(経営組織論、経営戦略論)合同による「富士シリシア化学株式会社日向工場」への研究視察を行ってきました。「富士シリシア化学株式会社」は、私たちの生活を取り巻く産業、医療、衣食住等々の様々な分野に関わるシリカ関連製品の研究開発・製造・販売(国内トップシェア)を行っている化学系のハイテク企業です。お菓子袋や箱の中に入っているシリカゲル(乾燥剤、除湿剤)は、皆さんの良く知るその代表的な製品です。

 本研究視察へは、両ゼミ学生19名、引率支援として山田恭子先生(認知心理学、学習心理学)、ゼミ教員2名(出山実、柚原知明)が参加をしてきました。

 本研究視察の実現に際しては、大変お忙しい中ご理解とご協力をいただきました「富士シリシア化学株式会社日向工場」のご対応いただいた関係者の皆様に篤く御礼申し上げる次第でございます。

 下記に本研究視察に関する1.研究視察日時・企業、2.写真集、3.参加したゼミ生の感想、4.柚原先生の研究視察総括についてご報告いたします。

 

1.研究視察日時・企業
○日時: 平成25年2月5日(火)13:40~15:15
○企業(所在地住所):「富士シリシア化学株式会社日向工場」
             (宮崎県日向市大字日知屋字木原16303番地の3)

 

2.写真集
写真1: 日向市の誇るJR日向市駅舎は、2008年9月鉄道に関する国際的なデザインコンテスト「ブルネル賞」において最優秀賞を受賞しました。耳川流域のスギ材をふんだんに使い、独特の見事な建築様式とバリアフリー対応による世界最高の評価を受けた素晴らしい駅舎です。建築家の内藤廣氏を中心とした建築・都市設計の専門家や鉄道関係者・行政・市民たちが協力して、10年以上にも及ぶ検討期間を経て完成しております。「富士シリシア化学株式会社日向工場」は、ご紹介したJR日向市駅から徒歩15分です。

 

写真2: ご対応いただいた「富士シリシア化学株式会社日向工場」の皆様です。

 

写真3: 講義に真剣に聞き入る学生たちと教員です。
山田恭子先生も目をパチクリさせて聞き入っておりました。

 

 

写真4: 講義中には、様々な興味深い実験を見せていただきました。

 

写真5: 講義中のテクニカルセンター研究員による実験の様子です。枇杷彩乃さん(出山ゼミ3年)も実験に参加しました。

 

写真6: 工場見学の様子です。医薬品原料や食品添加物を製造する工場であるため、髪の毛等の異物が入らないように帽子をかぶっています(流行ファッションではありません)。

 

写真7: 研究視察終了後、尾田章太郎くん(柚原ゼミ3年)がゼミ学生全員を代表して御礼挨拶を行いました。教員も含めて全員起立しております。

 

写真8: 最後に「富士シリシア化学株式会社」よりシリカゲルを使ったお土産(引き出し・衣装ケースや靴の除湿剤・消臭剤)をいただきました。

 

 

3.参加したゼミ生の感想
(経営学部2年柚原ゼミ 山﨑納津美さん)
 今回、メーカーの視察は初めてでした。実際に見てみると、想像していたものと違い、経営学を学ぶ者としても大変興味深い視察となりました。最初にシリカゲルと聞いて、私は乾燥剤しか思い浮かびませんでした。しかし、お話を聞き、実際に商品を手に取ってみると、こんなものにまで使われていたのかと大変驚きました。また、目の前で実験をしていただき、とても感動しました。このような実験を見てからなら、高校の化学ももっと楽しく学べたかなと思いました。そして、生産管理についてもご説明いただきました。講義で学んだことを、企業で実際に見る機会などほとんどありません。今回の視察は、私にとって貴重な体験となりました。ありがとうございました。

(経営学部3年出山ゼミ 黒木麻衣さん)
 今回、富士シリシア化学株式会社日向工場を見学させて頂きました。私は、乾燥剤を造っているということしか知識がありませんでしたが、国内トップシェアであること、シリカゲルが食品や薬品などにも応用されていることに大変驚きました。今回は工場見学や実験を交えながら経営を学ぶ私たちにもわかりやすい説明をして頂き、就職活動を控えた私にとって非常にためになる企業訪問になりました。今後も宮崎にある優良企業を調べ学んでいきたいと思います。

(経営学部3年出山ゼミ 髙木祥子さん)
 富士シリシア化学株式会社の企業見学に参加し、シリカゲルの実験や工場見学で隅々まで案内していただき、普段とは違う実際の経営を学ぶことができました。今まで乾燥材などは知っていましたが、原料や構造、様々な製品について説明していただいたのでこれから注目してみようと思いました。また、経営や会計の側面も説明していただき、これまで学習してきた原価計算などの知識と一致させることができました。今回、理系の会社にも素晴らしい企業があることを知ることができたので、今後視野を広げて就職活動にも役立てていきたいです。

(経営学部3年柚原ゼミ 尾田章太郎くん)
 2月5日、日向市にある富士シリシア化学へ行きました。実験や映像を交えた講義が展開された楽しい時間でした。就職試験を控える私は、こういった業界は未知の世界だったので、非常に視野が広がって良かったと感じています。富士シリシア化学様、及び三名の教員にはとても感謝しています。ありがとうございました。

 

 

4.柚原先生の研究視察総括
 本研究視察は、本学経営学部で行っている様々な授業(経営学総論、経営管理論、簿記論、会計学、財務管理論、財務諸表論、原価計算論、経営情報論、人事管理論、生産管理論等)を踏まえ、化学系のハイテク企業を対象に製造業の実態と仕組みを学ぶことを目的として実施いたしました。社会科学である経営学は、物理学、化学、生物学等のような自然科学と違い理論の構築や検証に向けた実験が困難な学問領域です。大学における経営学の学習は、授業・演習や書物によって体系的理論を学んだ後に実際の経営実態を学び、経営実態を学んだ後に再び体系的理論を学ぶという相互作用の繰り返しが非常に重要となります。ある程度の体系的理論を学んだら、積極的に現場の経営実態を研究視察することが質の高い問題意識や新たな興味を醸成させることになります。本研究視察は、日頃の体系的理論学習を踏まえた企業の経済活動及びマネジメントの実態観察であり、自然科学の研究における実験に相当するとも云えます。

 私たちは、「富士シリシア化学株式会社」のご理解とご協力をいただき、シリカゲル関連の化学技術と製品群、生産管理、製造管理、原価計算、情報システム等に関する研究視察の機会を得ました。特にテクニカルセンターの皆様には、講義中にシリカゲルの特質に関する様々な興味深い実験を行っていただきました。社会科学を学ぶ学生諸君にとっては、非常に新鮮で忘れられない貴重な経験になったと思います。また、工場内の化学プラントや製造工程についても懇切丁寧にご案内いただきました。

 製造業における製品開発・製造技術の本質については、その設計思想である「アーキテクチャー(architecture)」の視点から考えてみたいと思います。製品開発・製造技術に関する「アーキテクチャー」の概念は、今日の研究者たちによって「組み合わせ型(modular)」と「擦り合わせ型(integral)」という大きく二つの製品形態に分類しながら研究考察されております。まず「組み合わせ型」とは、すでに設計された部品・部材あるいは標準化された部品・部材を集めて、組み合わせの妙によって製品化された製品群を指します。具体的な例としては、パソコン、自転車、甲類焼酎(連続式蒸留しょうちゅう)等が挙げられます。一方「擦り合わせ型」とは、特別に設計された部品・部材やシステム・コンポーネントを相互に微妙に調整しないとトータルなシステムとして性能が発揮できない製品群を指します。具体的な例としては、自動車、オートバイ、本格焼酎である乙類焼酎(単式蒸留しょうちゅう)等が挙げられます。自動車は、エンジン、ボディー、トランスミッション、サスペンション、ステアリング、タイヤ、ブレーキ、デザイン等のトータルな調整とバランスによってはじめて高い安全性・信頼性、かつ快適な乗り心地の良い優れた製品に仕上げることができるのです。宮崎名産の本格焼酎(乙類焼酎)は、各企業が長年に渡る技術の蓄積をベースとして、模倣困難な独自の製法(各工程での温度・湿度管理、原材料等の微妙な調整)によってあの魅力的な香りと深い味わいを造り上げております。「擦り合わせ型」の物造りは、我が国の特質である単一民族、単一言語、勤勉、組織的連携、高い教育の普及、安定的終身雇用や従業員の企業への忠誠心(近年廃れつつある)等によって実現されたと云えます。これらの物造りは、今日に至る我が国の国際競争力の形成と競争優位の源泉となってきました。近年我が国製造業に対しては、厳しい国際競争の状況下、識者やマスコミを中心として衰退論、悲観論、空洞化論が盛んに議論されております。しかしながら、製造現場における物造りの能力が低下したわけではありません。製造現場の物造り能力と企業業績については、現在両者を混同した同一視する議論が行われております。今後における我が国製造業については、両者を明確に区分した分析をベースとして戦略をはじめとする研究開発やマーケティング等を含めた総合的な視点からの考察が必要であり、これらの議論は別の機会に委ねたいと思います。「富士シリシア化学株式会社」の製品群は、これまで論じてきた「擦り合わせ型」の優れた物造りの典型であり、地道な研究開発の蓄積をベースとして持続的(sustainable)かつ模倣できない質の高い物造りによってもたらされたのです。

 今回の研究視察では、講義後において尾田章太郎くん(柚原ゼミ3年)、枇杷彩乃さん(出山ゼミ3年)が上級生として積極的に良い質問をしてくれました。この経験は、今後における本学での経営学の学習、及び将来の職業人生において必ず貴重な経験になるものと思います。学生諸君は、研究視察(本学の授業含む)において常に高い問題意識を持ちながら質問や意見を整理して積極的に発言する姿勢が重要です。質の高い質問や意見は、ご説明頂いている訪問先の企業関係者に対する礼儀でもあります。ぜひ、今後においても継続的に研鑽を積み上げていってもらいたいと思います。

 最後になりましたが、私たちの受け入れ準備と懇切丁寧なご対応をいただきました「富士シリシア化学株式会社日向工場」の皆様に篤く御礼申し上げる次第です。本当にありがとうございました。

以上

    (編集 経営学部/出山実)


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