去る平成25年11月11日(月)、本学経営学部の出山実ゼミ(財務会計論、情報会計論)と柚原知明ゼミ(経営組織論、経営戦略論)は、合同ゼミによる社会医療法人同心会「古賀総合病院」への研究視察を行ってきました。
社会医療法人同心会「古賀総合病院」は、内科・外科を中心に25の診療科で構成されており、宮崎市郡北西部を主な医療圏とした中核病院であり、地域医療施設と連携を行っている急性期疾患を対象とした宮崎県を代表する総合病院です。 本研究視察の実現に際しては、社会医療法人同心会「古賀総合病院」の院長「今村卓郎様」より本学合同ゼミ活動に対するご理解を賜り、受け入れ許可をいただきました。また、ご対応いただきました社会医療法人同心会理事「丸山博史様」をはじめとする関係者の皆様に篤く御礼申し上げる次第です。
下記の通り、本研究視察に関する1.研究視察日時・訪問先、2.写真集、3.参加したゼミ学生の感想、4.柚原知明先生の研究視察総括、についてご報告いたします。
1.研究視察日時・訪問先
○研究視察日時: 平成25年11月11日(月)14:30~17:00
○訪問先(所在地住所): 社会医療法人同心会「古賀総合病院」
(宮崎県宮崎市池内町数太木1749-1)
2.写真集
写真1 ご説明をしていただいた丸山博史理事と小森洋主任
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写真2 ご説明に聞き入る学生たち①
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写真3 ご説明に聞き入る学生たち②
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写真4 病院内の見学シーン①
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写真5 病院内の見学シーン②
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3.参加したゼミ学生の感想
(経営学部2年生出山ゼミ 中田愛珠さん)
今回、地域医療支援病院である古賀総合病院に研究視察に行き、現在の複雑化・高度化した医療の現状について学習することができました。古賀病院は民間病院で、社会医療法人という医療外事業から得られた利益を、医療事業に投資してもよい医療法人です。地域社会に必須な医療だとしても、需要の大きい医療でなければ、赤字になってしまうそうです。そこで自立的に公益性のある医療サービスを担うことで、他の事業・医療に投資をし、需要はあるが慢性的な赤字を抱える医療を支えています。全国と比較して、病床数に対して医者が少ない病院で、こうしてさまざまな医療サービスを行い、且つ、コ・メディカルと専門医が協力しながら治療をして、多くの患者の入退院までの過程を支えていることにとても感心しました。
(経営学部2年生出山ゼミ 安樂裕規くん)
前回に引き続き2回目となる病院の訪問となり、どのようなお話をお聞かせいただけるか大変楽しみでした。お話をお聞かせいただいて印象に残ったのは、現在の宮崎県全体の医療問題に焦点を当てたお話でした。「宮崎県は果たして本当に医者不足に陥っているのか」から始まり、病院のたらい回しの実情等現場で働かれる方々の生の声を聴けて大変ためになりました。
会計の面からは、人件費比率の高さについて聞かされた時は大変驚きました。それぞれ病院には特色が存在し、それをどのように患者さんや地域の人に伝えるための病院側の努力など面白い話も聞けました。
宮崎県の医療問題は、他人事ではなく日頃から注意して情報を収集する必要があると感じました。
(経営学部3年生柚原ゼミ 山﨑納津美さん)
病院の視察は今回が2回目で、どのようなお話が伺えるかとても楽しみでした。病院に到着して、私がまず思ったのは、大きくてきれいな病院だということでした。最初に病院の概要についてご説明いただき、職員数の多さに驚きました。また、各部門でどのような資格を持った方々が、どのような仕事をしているのかについて大変詳しくご説明いただきました。さらに、医師不足やDPC(診断群分類別包括制度)、診療報酬などについてご説明いただき、医療の変化や病院に求められていることについてより理解を深めることができました。
今回の視察で得たことを、これからの研究に役立てていきたいと思います。お忙しい中、貴重なお時間を頂きありがとうございました。
(経営学部3年生柚原ゼミ 甲斐美帆さん)
今回、古賀総合病院を視察することが出来て大変勉強になりました。普段の生活のなかでは、病院の経営や抱えている問題、力を入れて取り組んでいることなど深いところまでは知ることは出来ません。しかしながら、研究視察という貴重な場を与えてもらったことで様々なことを知ることが出来ました。実際、今までメディアで聞いてきた病院間での患者のたらい回しの問題も、受け入れたくても受け入れられないという病院側も拒なければならない理由があることを始めて知りました。他にも、日々進化している医療技術の進歩や医者や看護師不足の問題についても学ぶことが出来て、とても身になる時間でした。
大変お忙しい中、貴重な時間を割いてたくさんのことを教えてくださった古賀総合病院の皆様には心より感謝申し上げます。
4.柚原知明先生の研究視察総括
今回の研究視察は、宮崎県を代表する規模(診療科目25科、医師・看護婦・職員数725名、病床数363)を誇る社会医療法人同心会「古賀総合病院」を対象に本学合同ゼミ(出山実、柚原知明)として2回目の医療機関への訪問となりました。社会医療法人同心会「古賀総合病院」の院長「今村卓郎様」からは、本学合同ゼミの研究視察に対するご理解を賜り、理事「丸山博史様」をはじめとする関係者の皆様から心温まる懇切丁寧なご対応をいただきました。
今日における医療を巡るわが国の状況は、国民医療費の増加、高齢化の進展、医療技術の高度化・複雑化・多様化、医療機器の高額化、医師と患者間における情報の非対称性、医療機能の分化、地域における限られた医療資源の効果的活用に向けた医療機関の連携化等、様々な課題に晒されております。また、患者への医療提供の特質には①無形であり貯蔵が出来ない、②救急患者が存在し需要予測が困難、③治療内容の高度化・複雑化・多様化、④経済合理性としての効率性や生産性だけの追求が困難、⑤尊い人命を預かるという道義的・倫理的な責任を伴う等の課題が存在しております。社会医療法人同心会「古賀総合病院」は、2008年7月1日厚生労働大臣より「DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System)」の指定を受けております。従来までの全ての診療内容に対して医療費の合計を算出する「出来高払い方式」から診断群分類に基づいて一部の医療費を定額で算定する「包括払い(DPC/PDPS)方式」による1日当たりの定額報酬算定制度(支払い制度)を導入しております。具体的には、患者の病状に応じて一部の医療費を定額で算定する包括評価部分(投薬、注射、処置、検査等)と出来高評価部分(手術、麻酔、リハビリ等)の組み合わせによって入院費が算定されます。これらの「包括払い(DPC/PDPS)方式」は、今日において「医療の質の向上と標準化」、「効率的・効果的な医療」、「透明度の高い医療」提供を目指して多くの病院で導入されております。ゼミ学生諸君においては、今日における病院経営を取り巻く多様な課題に関して、「包括払い(DPC/PDPS)方式」導入を含めた医療システムの抱える複雑さと奥深さを十分に感じてもらったと思います。
本研究視察終了時には、山﨑納津美さん(柚原ゼミ3年生)が合同ゼミ学生全員を代表して御礼の挨拶を行ってくれました。これらの経験は、今後における本学での学習、及び将来の職業人生において必ず貴重な経験になるものと思います。ゼミ学生諸君は、研究視察(本学の授業含む)において常に高い問題意識を持ちながら質問や意見を整理して積極的に発言する姿勢が重要です。質の高い質問や意見は、訪問先のご対応いただいている関係者の皆様に対する礼儀でもあります。ぜひ、今後においても継続的に研鑽を積み上げていってもらいたいと思います。
最後になりましたが、私たちの研修視察に対してご許可をいただいた社会医療法人同心会「古賀総合病院」の院長「今村卓郎様」、及び受け入れ準備と心温まる懇切丁寧なご対応をいただいた理事「丸山博史様」をはじめとする関係者の皆様に篤く御礼申し上げる次第です。今後における社会医療法人同心会「古賀総合病院」の地域医療へのご貢献とご発展を心より祈念申し上げます。
以上
(編集 経営学部/出山実)